ふらふらと頼りない足取りで、黒服は倒れた男へ近寄った。
   涙を堪えながら、死体を見下ろしている。

   だが、その黒服の男へリムジンから覗いた男が、車から降りもせず、冷たい銃口を向ける。

宇賀神  上出来です。ですが今、私が発破をかけなければ、貴方にはおそらく撃てなかった。
       無能には、やはり一緒に消えてもらいましょう。

黒服    え……な……ッ!?

   言うが早いか、正確に額を打ち抜かれ、逃亡者に折り重なるように男は倒れた。

   他の車から、数人の男が降りてくる。
   その内の一人が、さっきの眼鏡の男――『宇賀神』へ近づいた。

部下    お疲れ様です。裏切り者はどうしますか?

宇賀神   ケースを回収して私に。
       死体の時計やベルトは剥ぎ取って、貴方の弟分にでもくれてやりなさい。

 

 
かりんML入会
  E-MAIL
ML解除
  E-MAIL