|    俺は部屋の壁にもたれて腰を下ろす。梓もあれで、俺を睨みつけているつもりらしい。 梓  疲れてるんだよ。ずっと歩き通しだったから。 JJ  それならジョギングでもして来い。無駄口が叩けないぐらいにな。    俺は梓の反論を無視し、そのまま身体を休める。辺りに静けさが下りる。これでようやく眠れるだろう。
 
 梓は殺すべき男を前にして、先に眠るわけにはいかない。
 俺は俺で、安全のため深くは眠らない……そうして今まで、俺たちは奇妙な夜をやりすごした。
 梓  ここが、最後の……    梓の押し殺した声が聞こえる。
 ……俺を殺せないまま、また新たなアジトに移った自分に、梓も思うところがあるのだろう。
 だがどうせ、ここでも同じだ。
 梓  ここが、最後のアジトになる。ここで……俺が、お前を殺すから。 JJ  ああ……わかったから、早く寝ろ。    俺は、例によって、梓の呟きを聞き流した。 |