JJ   ……マスター、もう一杯、ハイボールを。

藤堂  かしこまりました。けど、JJ……
     今日は飲み過ぎですよ。ペースが早い。

JJ   別にいいだろう。
     こんな客にはどんどん飲ませて、潰れたら上乗せして請求すればいい。

藤堂  やれやれ、既に酔ってるみたいですね。JJ。
     今日はこれを最後の一杯にして帰りなさい。

JJ   まさか。子供じゃないんだ、アンタに心配されなくたって……

藤堂  喧嘩でもしたんですか? 同居人の彼と。

   カウンター越しに目を伏せたままグラスを磨いているマスターが、ふとそんなことを言った。

   このおせっかいなバーのマスターとは、昔からのくされ縁だ。
   唯一、俺の昔を知る人物であり、気を許せる相手でもある。

   しかしここ数年はこのバーにたまにしけこむくらいで、
   同居人……梓のことも、一度話した程度だ。だがその時は、興味も示してこなかった。

 

 
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